「牛乳は体に良い」
子どもの頃からそう言われ続け、
今もその“呪縛”から逃れられない方は
少なくないと思います。
実は、私もその一人で、40年間ほとんど
毎日、牛乳を飲み続けてきました。
その間、「ガスが溜まってお腹がゴボッと鳴る」
という悩みに長年苦しめられてきたんです。
ひどい時には、用もないのに外に出て、こっそり
“空砲”を小出しにしなければならないほどでした。
しかし、毎日欠かさず摂っていた牛乳と
ヨーグルトをきっぱりやめてみたところ、
驚くほど体が楽になりました。
これまでのガス溜まりやお腹の張りは、
まさしく乳製品のせいだったんだと、
ようやく気づきました。
カルシウム摂取の誤解
ここで衝撃的な事実をお伝えします。
実は、牛乳をたくさん飲んでカルシウムを
摂取しても、骨折しやすさには
関係がないというデータがあるのです。
つまり、「骨のために」とせっせと牛乳を
飲んでも、残念ながらその努力は報われない
可能性が高いということです。
それどころか、牛乳に含まれる成分を
消化しにくい体質の方にとっては、
お腹の調子を崩すこともしばしば。
さらに、アレルギー反応として、頭痛や鼻づまりを
引き起こすケースも報告されています。
カルシウムは処方されなくなった
骨の健康のために積極的にカルシウムを摂る必要が
なくなったことは、お薬の処方からも明らかです。
今から20年ほど前は、骨粗しょう症の治療として
カルシウム剤が処方されていました。
しかし、現在では処方箋の中でカルシウム剤を
見かけることは、ほとんどありません。
これは、薬やサプリメントでカルシウムを
摂っても、効果がないことが
はっきりしたためです。
多くの人が乳糖を利用できない
牛乳には、100gの中に約5gの糖質が
含まれています。
それは、乳糖と呼ばれるものです。
乳糖を上手く人間の体で消化するには、
「ラクターゼ」という消化酵素が必要になります。
この「ラクターゼ」は胎児期から乳児期後までは
作られます。
それ以降は乳糖が不要となって、
日本人を含む有色人種は、
約8割の人で分泌されなくなってしまうと
言われています。
これは成長過程における正常な生理的な変化です。
離乳期が来たら、誰もが乳離れしますよね。
これと同じ現象は、離乳期に至ったほとんどの
哺乳動物にも見られるそうです。
ラクターゼがないとどうなるか?
ラクターゼが体内で作られていないと、
乳糖をうまく消化できません。
その結果、下痢やお腹がゴロゴロ鳴るといった
症状が出たり、
人によっては便秘になってしまうこともあります。
さらに、未消化の乳糖が大腸で発酵されることで
ガスが発生し、おならが出やすくなります。
このおならを我慢していると、
ガスがお腹の中を移動し、「ゴボッ」という
大きな音が鳴ってしまうこともあるのです。
お薬に乳糖が使われているものがある
乳糖をうまく処理できない方が、
「乳製品をやめて、整腸剤を飲んでみよう」
と考えることもあるでしょう。
しかし、そのような方も少し注意が必要です。
なぜなら、お薬の添加剤として乳糖が
使われているものがあるからです。
例えば、医療用医薬品である「ビオフェルミン」と
名のつくものには、ビオフェルミン散剤、錠剤、
配合散、R散、R錠の5種類があります。
ややこしいことに、この中で
ビオフェルミン配合散とR散だけに
乳糖が含まれているのです。
もし、最初に乳糖入りのビオフェルミン配合散を
飲んでしまったら、
「自分にはビオフェルミンが合わない」
と誤って判断してしまうかもしれません。
整腸剤を選ぶ際には、
成分表示をよく確認することが大切です。
また、乳糖が使われているものは
粉薬に多いですが、たまに錠剤にも
使われていることもあります。
ラクターゼが作られる人は
仮に、自然の摂理に反して成人になっても
ラクターゼが作られている方がいたとしましょう。
そのような方は、積極的に牛乳を
飲んだ方が良いのでしょうか?
私はそうは思いません。
なぜなら、牛乳を飲むことで、少なからず
糖質を摂取することになるからです。
牛乳の炭水化物量は、一般的なスポーツドリンク
であるアクエリアスと同じくらい。
健康を考えるならば、
糖質はなるべく控えめにして、
高タンパク質、高脂質の食事を
心がける方が賢明です。