今のがんの部位別罹患割合は、大腸、肺、胃と
なっています。しかし、昭和30年(1955年)頃
は、がんの中で胃がん発生率がもっとも高いもの
でした。当時、奈良県の男性の胃がん発生率は
日本一でした。奈良県から和歌山県にかけては
日本有数の林業地帯で、そこで働く林業労働者
たちに胃がんが多くみられたのです。そして、
昭和40年(1965年)頃を境に、奈良県の胃がん
発生率が激減します。その統計データを見ていた
小山内 博(おさない ひろし)医師は、ピーンと
ひらめきます。謎を解くカギは、「チェーンソー」
と「茶がゆ」でした。
「チェーンソーが普及してから胃がんが激減した」
これは労働の重さと関連しています。それまでの、のこぎりを引いて木を伐る作業は、第一級の重労働でした。それがチェーンソーに替わってから、木を切る作業は格段にラクなものとなったです。労働の重さは比べものになりません。
茶がゆは、その土地の人でないとなじみが薄いもの
かと思います。緑茶でなくて、ほうじ茶や番茶で
炊くので、下の図のような色をしています。

吉野地方では茶がゆを主食とし、林業労働者たちの多くものこぎりを引きながら茶がゆを食しました。茶がゆは彼らの激しい労働を支えるために、より多くの米を食べさせ、満足させる方法として工夫されたのです。普通の米飯であれば、一度にそう多くは食べられませんが、茶がゆにして流し込めば、大量に米が食べられて、精神的な満足感も得られます。ある調査によると、少ない人でも1日四〇杯、多い人では一二〇杯も食べて仕事をしていたとされています。
小山内 博著『生活習慣病に克つ新常識』(新潮社、2003)
茶がゆはおかゆですから、一見、消化がよい
ように思われます。しかし、かゆ状なので口の中
で噛むことなく流し込まれます。そのため、
唾液の中の消化酵素アミラーゼと混ざる事なく、
胃に到達します。胃の中では消化が進まない
ので、負担はいっそう重くなります。これは、
以前のブログ「おかゆは消化がいい?」でも説明
しましたね。
つまり、かつて奈良県の林業労働者に胃がんが
多かったのは、
・重労働で、それに見合う糖質を大量に食べる
・忙しさから糖質をかまずに流し込む
この2点にまとめられます。
現代では、車、スマホの普及、サービス業への
シフト、異常な暑さなどで、さらに身体活動は不足
する方向にあります。
にもかかわらず、手軽に食べられる既製品は増え、
柔らかく加工された食べ物であふれています。
これで1日3食ろくに噛まずに食べていると、調子
を崩すのは想像に難くないでしょう。
まずは1口30回かむMEC食(やせるために
肉・卵・チーズを食べよう!)から始めて
みませんか。
